栗野的視点(No.866) 2025年7月27日
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地方から見据える近々未来の姿
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猛暑、酷暑、激暑お見舞い申し上げます!
この夏は猛暑、酷暑を通り越し、激暑と言っていい暑さが全国を襲っています。
まるで日本列島が炎に包まれたように真っ赤に燃えていますが、皆様お変わりありませんか。
岡山県北東部の実家に帰省して1週間。
例年、夏は避暑のつもりで帰省していますが、今年はそうもいかず、連日の暑さに早くもバテ気味です。
それでも夜中の気温は下がり夜はエアコン、扇風機要らず。窓も上部の天窓を半分ほど開けて寝るだけです。
田舎の一軒家故、南北の窓を開ければ風がよく通ります。ただ。ここ1、2年、通り抜ける風が熱風に近くなり、さすがに日中のみエアコンを稼働させるようになりましたが、エアコンがついているのは中の間だけですし、夏場は各部屋の仕切りを全部外していますからエアコンをつけても効果はさほどありません。
とまあ、こんな状態ですから草取りなどの作業するのは朝5時過ぎから7時過ぎまでだけと決めています。
今日は起床後、久々のウォーキング。
その途中、早朝ウォーキングの時に見かける鹿取り兄さんと出会いしばし会話。
「この頃、鹿は取れていますか」
「いやあ最近減っています」
「各地では鹿が増えているとニュースでも言っているけど減っている?」
「そうなんです。まあ鹿害を減らすためにやっているわけだから、鹿が減っているのはいいことなんですけどね」
彼は鹿が出そうなところに罠を仕掛け、毎朝仕掛け罠を見て廻り、鹿が掛かっていれば軽トラの荷台に積んで持って帰り、捕獲数を市に報告。
すると1頭当たりいくらかの補助金が市から支給される仕組みになっているらしい。
すると、その横で奥さんが「でも猿が増えています。この間なんか10頭ぐらいが集団で出てきたと言っていましたから」
「そう、猿が増えているという話は全国的に言われているけど、この辺でも猿が増えてきましたか。でも、さすがに熊はいないですよね」
「いや、そうでもないんです。縦貫(中国自動車道)の向こう(北)側ではよく出ているんです。縦貫が境になってこちらで見かけることはなかったけど、つい最近、こちらでも見たと言っていたから。子熊だったみたいだけど」
おやおや熊も出て来だしたのか。獣たちが人との境界を越えて来出すと、いずれこの辺りにも出没し出すかも。そうなると北海道や東北の話だと他所事と思っていられない、とビックリです。
北海道で熊が駆除されると、全国から苦情の電話が殺到したらしい。
なぜ熊を殺すのだとか、殺さずに山に逃がせ、などと。
こういう苦情を申し立てるのは決まって域外の人。
自分たちの身の回りには熊や猪、猿がいないから、獣害や熊に襲われる怖さを知らない。
専門家の中にも本来熊は人間を襲わない、と言う人もいますが、一度、人や家畜を襲い味をしめた熊は再び襲って来ます。
人や家畜を襲った熊を駆除せずに山に追いやれば、その熊は再び人や家畜を襲って来るでしょう。
一度などウォーキング中に前を鹿が横切ったことがありますし、立派な角を生やした牡鹿と睨めっこをしたこともあります。この時はウォーキング中ではなく車で山中を走っている時でしたが。
いずれにしろ、ここ数年、人と動物の境界がなくなり、動物が人の居住区に出入りし出すようになっています。
地方では過疎化で動物の方がマジョリティーになってきたことがあるでしょう。保護政策で個体数が増えてきたのと反対にハンターの高齢化による減少で、動物が人間を恐れなくなってきたのでしょう。
そうなると強いものがのさばってくるのは当然で、マイノリティーになった人は地方から後退せずにはいられなくなり、この面からも地方の過疎化は急速に進んでいかざるを得ないでしょう。
見捨てられ、荒れた地方がアニマルワールドと化していくのはそう遠くないでしょう。10年後に見る景色は今とは随分違っているはずです。
人がマイノリティーになるのはなにも地方だけではなく都会でも同じです。あるいは地方よりもっと急速に進むかもしれません。
この場合は、人を追いやるのは動物ではなくAIです。
AIが人の仕事を奪い、人はAIに指示されたままに働くしかなくなります。すでにその兆しは見えていますが、人に残されたのは単純労働で、頭脳労働はAIが行う。
これは映画の中や仮想社会の中での出来事ではなく近々未来の社会です。
そうならないことを祈りますが、止める手立てはないように思えます。
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